2021年のキング・クリムゾンを観た・聴いた

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2021/12/28(火)  15:00

あの感動からそろそろ1か月。公私に忙しく長文を書く気も起きなかったが、人生の備忘録として記しておこうと思う。


2018年の来日時には「メンバーがいつ死ぬかもわからない。後悔したくない」との思いがあった。そして実際に3年前の来日メンバーであるビル・リーフリンは昨年亡くなった。
そんな中、コロナ禍の中でのアメリカツアー開始の便り。そしてまさかの来日のニュース。ぴあでチケットをポチるマウスに躊躇はなかったw。1枚目、2枚目、追加公演で3枚目、4枚目。〆て64,000円。ああ、もっと高額の席でお布施したいのに・・・

それにしても、高齢なメンバーの健康状態は大丈夫なのか? 本当に入国できるのか? こちとら屋外のサッカー場や野球場すら入場制限があるというのに・・・

そんな不安はあったが、ツアー一行は無事来日し、隔離期間を厳格に過ごし、リハーサルが始まったという知らせも入ってきた。その一方で、プロモーターのwebサイトやメンバーのSNSからは「最後の来日」「クリムゾンとしての最後のツアー」「来年以降は全くの白紙」「Completion(=完結)」といったキーワードが続々と出て来る。ああ、ああ、、、、、、

初日。東京国際フォーラムのAホールというデカい箱。演奏者よりも我々聴衆の方が、このコロナ禍においては緊張感があったかもしれない。チケットもぎりと手荷物検査に加えて来場者情報シート(これが大変だった)と体温チェックと手指消毒が追加された入場時の運営は決してスムーズではなく、初日は(おそらく入場遅れによって)開演が遅れた。しかしそれがなんだというのか。この面倒な時期に来日を決意してくれたメンバーとツアースタッフ、関係機関とのネゴなどもあったと想像されるプロモーター、久しぶりの大人数イベントにもかかわらず日ごとに手際を改善していった会場スタッフには、クリムゾンの音楽に対する賛辞と同じくらいの感謝の念を表したいと思う。

本当にありがとうございました。


クリムゾンは、やはりクリムゾンだった。日々、アップデートを発見する喜びがあった。
それは、"Neurotica"で日によってアップライトとスティックを使い分けるトニー・レヴィンのプレイであったり、"Indiscipline"のドラム掛け合いのお題出しが最終日だけギャビン・ハリスンだったり、"Schizoid Man"のドラムソロに「純正ソロ」「高速ドラムアンサンブルをアドオン」「←リムショット版」というバリエーションがあったり、"LTIA2"前に"EXILE"のノイズを入れてドキドキさせてみたり・・・と、予想内のセットリストの中で色々と仕込むエネルギーがあった。ジェレミー・ステイシーのフリーな感じのキーボードが彩る"Red"は過去最高だった。そしてまさかの"Schizoid Man"を演らない日もあるというイケズなところもバッチリ発揮してくれたw

そしてやはり、トリプルドラムは正義だ。大正義だ。とりわけ
"Radical Action II"や"LTIA5"は電子ドラムよりもこういったフィジカル編成がよく似合う。
過去のクリムゾンにおける、プレイヤー同士の触発で演奏が見るからに(聴くからに、と言うのが正しいのかな)ガリガリ変化していくような感覚。あるいは、1980年代に2本のギターとスティックが絡み合うことで生み出した複雑かつ立体的な構造を感じさせる三次元緊縛(なんだそれ)のような演奏。
現在のクリムゾンは、トリプルドラムによる6本の腕、6本(たまに12本)のスティック、6本の脚+ステイシーのキーボード同時弾きが、インタープレイと立体構造の両方を我々の耳にドカン! と大音量で届ける、そういう解釈を俺はしている。なので3人のドラマーが暴れれば暴れるほど俺の脳内ドーパミンは溢れだすこととなった。

ただし、ギャビン君。君のドラムの音は(特にキック)デカすぎるゾ。

(写真をクリックすると1階席向かって左奥でタオル上げてる俺発見)



俺はロバート・フリップの「クリムゾンは完結するが次に何が始まるかはわからない」みたいな思わせぶりかつ勿体ぶった言い回しが本気で大嫌いで、そういう発言を目にするたびに「はまぐりに当たりやがれ」と思わないこともないが、それでも彼の口から「完結」という言葉が出た意味は極めて重い。それが過去に何度も言われた言葉であったとしても。
目の前のショーがキング・クリムゾンとしての最後のライブステージになる可能性が極めて高い、ということが頭の片隅によぎる(脳内ではフリップが日本語で俺にそれを告げている)瞬間はたびたびあり、そのたびにグレッグ・レイクやジョン・ウェットンがステージで歌っているようにも見えてくる。
そんな精神状態なのは俺だけではなかったらしく、オーチャードの1日目で隣のオッサンが「ウエットンのいるクリムゾンが観たかったですね・・・」と問わず語りにしみじみと語りだしたのには苦笑を禁じ得ず。しかし俺も「そんなの観ちゃったら思わず一緒に成仏しちゃいますよね・・・」と返したのは、本音だ。

こうなるとクリムゾンは俺にとってもはや宗教のようなもんだが、まあ1981年からバンドに在籍しているメンバーからしてそういう風に感じているんだから、それより前からクリムゾンを聴いている俺が、そんなおセンチになったっていいじゃないか。

俺がクリムゾンを最初に聴いたのは、たぶん"USA"。「こんな曲があるのか!」衝撃だった。家には"宮殿"もあった。所有者は俺の3つ上の姉だ。"Young Person's Guide"は売ってしまったと言っていた記憶があるので、たぶん1976年か77年、俺が11歳か12歳の時のことだ。

時は流れて2021年。俺は56歳。初めて聴いた時にはすでに解散していたバンドを、まさかこんなに長い期間「推し」として楽しめるなんて、思ってもみなかった。
もしかしてその幕引きの時が来たのだとしても、小難しい事ばかり言ってきたバンドが最終的に出した答えが"Music is our Friend"だとしたら、「うん、そうだね(フフッ)」って返したくなる、そんな2021年の日本公演でした。

2018年のキング・クリムゾンを観た・聴いた

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2018/12/26(水)  22:30
キング・クリムゾンは、俺が小学生のころから聴いているバンドである。来年、デビュー50周年である。そのクリムゾンが日本に来たので行ってきた。

クリムゾンは変わり続けてきたバンドなので、近年のバンドが「新曲を作らず、旧曲をライブで演奏するのみ」という事実に対して、俺の中で賛否両論がある。遂に変化を止めたのか、と。しかし、50年もやっていれば全ては古い曲とも言えるし、なにしろリーダーのロバート・フリップは72歳の高齢だ。いつ死ぬかもしれない。冗談ではない。嗚呼、既に鬼籍に入った過去のクリムゾン在籍者がいるのだ!

だから、今、観なければならなかったのだ。

俺が見たのは15公演のうちの13、14回目。東京7公演のうちの6、7回目なので、便宜上"Day6","Day7"と称するが、Day6の参戦エリアは36列ある渋谷オーチャードホールの36列目(笑)。しかも端っこ(笑笑)。壁と2階席の反響か、音離れは最悪で微妙なニュアンスはわからず、音質や演奏の良し悪しを語るような席ではない。Day7はもうちょっとましな音だったが…。
そういう席で聴いたものだから、最初の感想は「史上最も音がデカいクリムゾン」でしかない。そしてそれはトリプルドラムという前代未聞の編成によるところも大なのだが、ツイッターで見た「ジェントルで狂暴、トリプルドラムの弾幕」という表現は実に当を得ている。乱暴ではない。計算して作られた間隙に3人のドラムが順に飛び込んでくる。"Indiscipline"のドラムの掛け合いしかり。まさかの"Breathless"しかり。砲撃に晒され滅多打ちにされているうちに、耳に飛び込んでくるのが果たして音楽なのかどうかもわからなくなってくる。
音楽じゃなきゃ何なのか。ドラムの3人が、フリップ爺を守る悪役に見えてくる。左から爆発物工作班、用心棒、知能犯のトリオ。ゲームなら、倒す順番を間違えると永遠に倒せない中ボス。いやむしろ、撃たれている俺の方がシューティングゲームの中に嵌ってしまったか?
念のため言うが、これは褒めているのだ。こんな感覚になるのは、"LTiA2"を繰り返し聴いているうちに「これは音楽ではなく構造物だな」と悟ってしまった時と同じような衝撃度なのだ。

そしてその衝撃は、バンド全体が、そうなのだ。若々しくはないが精力的で(そうでなければ、平均年齢が俺より上のバンドが、途中休憩20分を挟むとはいえ実質演奏時間2時間半のショーを連夜こなせるものか!)、重厚で、精密で、なにより表現意欲に満ち満ちている。
それは例えば、"歌うIndiscipline"、"Easy Money"でのインスト部のシャウトやオーラスの珍妙なギターフレーズのアドオン、カウボーイビバップみたいにイカすアレンジに生まれ変わった"Neurotica"、フリップ節をこれでもかと聴かせる"Prince Lupert's Lament"や曲間のカデンツァ、監視員にしか見えないビル・リーフリンの乾坤一擲のグリッサンドとフリップの前腕キーボードが炸裂する"The Court of the Crimson King"など、間髪を入れずに「今、俺がやりたい演奏はこれなんだ」と言わんばかりに攻撃を仕掛けてくる。"Level5改めLTiA5"の凶悪なユニゾン。身震いする。
そうかと思えば、クリムゾン史上最も美しい曲でありながら、ブートの薄汚い音源しか残っておらずもはや荒野で朽ち果てていたと思っていた"Islands"を瑞々しく生き返えらせたりする。生きていたのかワレェ!(感涙)
そして圧巻の"21st Century Schizoid Man"。半世紀前の曲なのに、いまだにトンがっているとは! この曲を作ったオリジナルメンバーであるイアン・マクドナルド、故グレッグ・レイク、マイケル・ジャイルズ、ピート・シンフィールドに改めて感謝をする次第である。

俺は最後列の恩恵を生かして(後ろの人の視界を遮るとか考えんでもいいんで)、埼玉スタジアムでやるように、彼らを称えるタオマフを掲げましたとも、ええ。トニー・レヴィンの日記にも映ってますけどねw

というわけで当初の葛藤はどこへやら、過去のいかなるクリムゾン生体験よりも鮮烈な印象が残った今回の公演でありました。(曲ごとに感想を書くときりがないのでやめておく)

なお、チケット代はS席16,000円であったが、8人編成で2時間半楽しめて、フリップ爺の「休憩は前半の終わりから後半の始まりまでです」っていう回りくどくメンドくさいボケ(?)や「ショーをエンジョイしてねイエーイw」てな感じの可愛いはっちゃけぶりが聞けて、ちょっとお金を足せばTシャツまで買えちゃうんだから、これはもう実質タダ。タダは何回行ってもタダ。いやホント。




家に帰り、ツアーパンフを見て、俺は笑った。笑うしかなかった。行く前の俺の心境と正反対のことが書いてあったからだ。

全ての音楽は新曲だ。それがいつ書かれたとしても。

ロバート・フリップ。あなたは正しい。

ジョン・ウェットンが亡くなった・・・!

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2017/01/31(火)  21:10


これ聴いてたら涙とまんなくなっちゃった・・・

ああーもうー・・・

でも残した音楽は永遠だよね。。。

気の効いたこと、なんも言えん。


グレッグ・レイク死去

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2016/12/08(木)  21:30


またひとり、クリムゾンのメンバーが逝ってしまった。
癌で闘病していたとは・・・

冥福を祈ります。

Larks' Tongues in Aspic Part Two 聴き比べ

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2012/01/08(日)  15:00
1972年から1974年にかけてのライブ・バージョンです。

あまりにバカバカしいので畳みますねw


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King Crimson 1974.06.24 Massey Hall, Toronto, Ontario

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/12/30(金)  11:50
kc197406241974年6月24日 トロント/マッセイ・ホール

1) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
2) Lament
3) Exiles

4) Improv (The Golden Walnut)
5) The Night Watch
6) Fracture
7) Improv (Clueless and Slightly Slack)
8) Easy Money
9) Starless
10) 21st Century Schizoid Man


最後の北米ツアーもいよいよ終盤。相変わらずリズム隊が暴走する傾向にはあるものの、デヴィッド・クロスがうまくハマったときの演奏の破壊力は半端なく、伝説的なインプロを次々と生み出していきます。

ツアー終盤の典型的なセットリスト("LTiA2"で始まり"Schizoid Man"で締めくくる)が展開される6月24日のトロント公演は多数のブートレッグが存在しますが、オフィシャル音源としては92年にリリースされた4枚組ボックスセット"The Great Deceiver"の中の4曲のみ。ここではその4曲を紹介しますが、かなり長めのインプロ2曲を含む超絶な演奏が展開されています。完全版の公開が待たれるところですが、それは、たぶんフリップが金に困ったときなんだろうな・・・。

2011/12/30追記 フリップが金に困ったのかどうかは定かではありませんが、2011年に完全版がCDでのみリリースされています。赤文字の曲が追加分。レビューも追加しています。

蛇足ですが、これだけの凄い演奏をしておきながら、客からは「宮殿」を催促されるあたりは忸怩たる思いがあったのかもしれませんね・・・。


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King Crimson 1974.04.01, Stadthalle, Kassel

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/12/28(水)  11:50
1974年4月1日 カッセル/シュタットハッレ

1) The Great Deceiver
2) Improv
~3) Doctor Diamond
4) Improv
~5) Exiles
6) The Night Watch
7) Lament
8) Starless
9) Improv
10) Easy Money
~11) Fracture


152回目のライブ。前日とほぼ同様のセットリスト、インプロも同様のもの。デヴィッド・クロスの影の薄さやリズム隊の骨太感も含めて、目新しいものはない。
それにしてもこの日の演奏では、前日の不調が嘘のように、ジョン・ウェットンのヴォーカルが素晴らしい。


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King Crimson 1974.07.01, Central Park, New York City

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/03/01(火)  20:00
kc197407011974年7月1日 ニューヨーク/セントラル・パーク

1) 21st Century Schizoid Man
2) Lament
3) Exiles
4) Improv
5) Easy Money
~6) Fracture
7) Starless
8) The Talking Drum
~9) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


72年10月のズームクラブでの初演から数えて191回目のライブは、6月2日から始まった北米ツアーの最終日であり、74年の、そして"Larks"編成での最終公演。屋外での演奏に際して、雨で機材的な問題が発生し、聴衆もまばらだったという記録もあるが、本人たちにとっては充実感が残る演奏だったようだ。この日の午前中にデヴィッド・クロスの解雇を決定したとか、結果的にこの日が最後になったとかの理由を後付けして聴くと感傷的な気分になるのかもしれないが、その演奏は相変わらずパワフルで、そこに「音楽的なもの」以外の要素の混入を許さないような激しさ、厳しさが感じられる。

バンドは、このステージの1週間後から新アルバムの収録を開始。ライブのエネルギーをそのままスタジオに持ち込んだ"RED"を作り上げ、その高みで自爆した。

なお、公式音源とはいえ、ソースはブート。ピッチが1/4音ほど低く、それが補正されないままリリースされており、そこが残念な点だ。ツアー終盤はミキシングコンソールでの録音がされているはずで、この日のステレオ音源もあるとかないとか色々と噂はあるらしい。ビル・ブラフォードに続いて一線を退くことを発表したロバート・フリップの老後の年金として、どこかにしまいこまれているのかもしれない。


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King Crimson 1974.06.30 Palace Theatre, Providence, RI

King Crimson ] TB:1 | CM:0 | 編集  2011/02/22(火)  20:00
kc197406301974年6月30日 ロードアイランド州プロヴィデンス/パレス・シアター

1) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
2) Lament
3) Exiles
4) Improv (A Voyage To The Centre of the Cosmos)
5) Easy Money
~6) Improv (Providence)
7) Fracture
8) Starless
9) 21st Century Schizoid Man


アズベリー・パーク公演と並ぶ、いや、それをも上回る名演の夜。

「状況は行き付くところまで行き付いている」「もう帰りたい」とロバート・フリップ自身が日記に記すほど消耗した状態であるにも関わらず、既存曲の円熟度合いは最高点に到達し、このバンドの生命力を表すインプロの出来具合は筆舌に尽くしがたい。創造力の源泉となるエネルギーは全く失っておらず、目をつぶって音空間に身を委ねると、そこにはまさに"A Voyage To The Centre of the Cosmos"という感じの光景が脳裡を支配する。こういうものを連夜演奏できる精神構造とか音楽的素養の広がりとかが俺には全く想像もつかない。
メンバーの一人をクビにすることが翌日には決まってしまうようなシチュエーションなのに、コンビネーションには一点の陰りもない。一時は酷かったベースの音量問題も、このツアーの最後の数日は許容範囲に収まっている。

が、冷静に聞き込むと、終盤にはかなりヨレやミスも目立ってくる。それがこのバンドの演奏内容の価値を下げるものではないのだけれど、自らのパワーに演奏者の心身が堪えられないような演奏をするバンド、それがこの時期のクリムゾンだということは言えるかもしれません。


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King Crimson 1974.06.29 Penn State University, University Park, PA

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/02/15(火)  20:00
kc197406291974年6月29日 ペンシルベニア州ユニバーシティ・パーク/州立大学

1) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
2) Lament
3) Exiles
4) Improv (Is There Life Out There)
5) Easy Money
6) Fracture
7) Starless


189回目のライブは、ロバート・フリップが下痢で苦しんだことを日記で告白している日の演奏です。(前の晩、アズベリー・パーク公演の後に食ったはまぐり6個が原因)
音質的には、全体にややフランジャーというか浅いリバーブがかかったような感じだが、それがかえって音のカドを削ることで深みを醸し出している・・・かも。まあ、ベースやドラムのキックが音量的に出しゃばり過ぎることさえなければ、この時期の演奏は安定して聴けるのです。

なにしろ移動の合間に演奏をするような状況。音楽的な充電の機会もなく連夜に渡ってステージが続くライブツアーとあって、セットリストは前日と同じもの。ただし下痢で消耗していたせいで(?)アンコールがキャンセルされています。ロバート・フリップの体調の問題が尾を引いているのか、全体的に大人し目の演奏かもしれません。


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King Crimson 1974.06.28 Casino, Asbury Park, NJ

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/02/08(火)  20:00
kc197406281974年6月28日 ニュージャージー州アズベリー・パーク/カジノ

1) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
2) Lament
3) Exiles
4) Improv (Asbury Park)
5) Easy Money
6) Fracture
7) Starless
8) 21st Century Schizoid Man


188回目のライブは、バンドが解散した直後(75年当時)から"USA"として世に知られている伝説のアズベリー・パーク公演。演奏はとにかく凄いの一言。ダイレクトで骨太で、輪郭がはっきりした、74年アメリカツアー終盤の(すなわち解散直前の)クリムゾンの集大成とでも言える演奏です。72年のバンドとは、もはや完全に別物です。

それにしても、この時期のメンバーのストレスは相当なものだったようです。新しい音楽を生み出す喜びよりも、長い長いツアーの疲労(このライブの前夜はゴキブリだらけのおんぼろ宿に泊まらざるを得ない状況に陥りかけたらしい)とメンバー間の嫌悪感、音楽的志向や性格の違いの顕在化、究極的にはデヴィッド・クロスをクビにするかどうか・・・といったことを考えざるを得ない状況がもたらすストレス・・・そんなものを抱えながら73年秋以来の頂点に向かって突き進んでいくクリムゾン。もしかすると、様々なマイナス要因があったからこそ、この時期のクリムゾンが、ただの大音量のヘビメタお化けにならずに済み、不安定な状況の中でもバランスを保っていたのかな・・・なんて妄想もしてしまいます。


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King Crimson 1974.06.27 Kennedy Centre, Washington D.C.

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2011/02/01(火)  20:00
kc197406271974年6月27日 ワシントンDC/ケネディ・センター

1) Lament
2) Improv
~3) Exiles
4) Easy Money
~5) Improv
6) Fracture
7) Starless


カナダからアメリカに戻ってきて、187回目のライブは首都ワシントンDCの、大規模総合文化施設(なにしろ、wikiによると年間で3,000以上のミュージカル、演劇、バレェ、オーケストラ、ジャズ、ポピュラー音楽等の公演があるという)での演奏。
全体的に言えることは、ワシントンの翌日のライブ、即ち35年前から世の中に"USA"として出回っているアズベリー・パークでの演奏のスタイルに明らかに酷似していて、ツアーの終局に向けて、この時期のパワフルな演奏が一つの完成形を形作り大団円を迎えつつあるということ。もちろん、大団円と言っても必ずしも平和なそれではなく、パフォーマンスが踏みにじられつつあるデヴィッド・クロスの存在などは、その演奏だけでなく存在そのもの自体がバンド全体のフラストレーションとなり、極限まで高まったイライラがリズム隊の爆音と、ヒアリングが困難な状況の中でのメロディー隊の迷走を誘発しているような気すらしてきます。我ながら実に下らぬ妄想ですが・・・そう関連付けたくなるほどに、ベースの爆音ぶりは受忍限度を超えています。うるさい。

公式音源は完全版ではなく、ここで紹介する7曲以外に少なくとも"LTiA2"を「嵐のように」演奏したことがロバート・フリップの日記で明らかにされていますが、ブートがないため全貌はわからない公演日でもあります。


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King Crimson 1974.06.07 Fairground Arena, Oklahoma City, OK

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/12/23(木)  20:00
kc197406071974年6月7日 オクラホマシティ/フェアグラウンド・アリーナ

1) The Great Deceiver
2) Lament
3) Improv
~4) Exiles
5) Fracture
6) Starless
7) Improv
8) The Talking Drum
9) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


174回目のライブはオクラホマ。基本的には前日のフォートワースの流れを踏襲し、プラスアルファの曲を後半に並べている形式。

ちょっと凄いなと思うのが、定型曲の冒頭に付く短い繋ぎのインプロとはいいながらも、マンネリ化したり、単なる「雰囲気」的な曲に流れず、前日と違うパターンで緊張感に溢れる演奏がなされている事。"TD"の驚くほどのスピードや、"Starless"、"LTiA2"の分厚いアンサンブルなどと考え合わせると、この時期のクリムゾンのパワーは既に凄まじいばかりに膨れ上がっていて、半月後の長尺インプロの連発は、地下のマグマが溢れ出るが如く、必然だったのかもしれない。


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King Crimson 1974.06.06 Tarrant County Convention Centre, Fort Worth, TX

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/12/21(火)  20:00
kc197406061974年6月6日 テキサス州フォートワース/タラント・州会議場

1) Easy Money
2) Lament
3) Fracture
4) Improv
~5) The Talking Drum
6) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
7) 21st Century Schizoid Man


さて、74年6月。3月以降の欧州・北米爆音ツアーから1カ月のインターバルを置いて、いよいよ最後の北米ツアー(28日間21公演)が南部サンベルト地帯を皮切りに始まります。

6月6日のフォートワース。173回目のステージは、前月のセットリストと表立った変化はなし。メンバーがそれぞれに自己主張しつつも、音量バランスを崩しまくっての「ゴリ押し感」が薄れてきている。とは言え、前年11月のようなバランスのとれたアンサンブルというほどではなく、また、6月後半の集中力の塊のような長尺インプロを連発するわけでもない。過渡期の姿だ。


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King Crimson 1974.04.29 Stanley Warner Theatre, Pittsburgh, PA

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/12/14(火)  20:00
kc197404291974年4月29日 ペンシルベニア州ピッツバーグ/スタンレー・ワーナー・シアター

1) The Great Deceiver
2) Lament
3) Improv (Bartley Butsford)
~4) Exiles
5) Fracture
6) Easy Money
7) Improv (Daniel Dust)
~8) The Night Watch
9) Doctor Diamond
10) Starless
11) Improv (Wilton Carpet)
~12) The Talking Drum
13) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
14) 21st Century Schizoid Man


コロンバスの翌日、165回目のライブとなるピッツバーグでの公演。この時期にしては珍しい事に、ベースとヴォーカルの暴発を防ぐ程度には適切な音量バランスのサウンドボード完全収録音源で、この時期のクリムゾンを、暴力的なベースというフィルターを取り除いて聴く事が出来る好音源。

ある意味で演奏よりも目立っている能天気な聴衆の反応は、ヨーロッパのサッカー場とアメリカのカレッジフットボールの会場ほども違う。"Groon!"だの"Ladies of the Road!"だのと叫んで昔の曲をねだりつつ、それでも曲間で(いや曲中でさえ)あのいかにもアメリカ人的なオ゙ヒャーーーって叫び声を上げる聴衆を喜ばす方向に、バンドはシフトして行ったんだろうなあ。ここで"Trio"や"Book of Saturday"は「ツマラナイ!」と言われそうだもの・・・


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King Crimson 1974.04.28 Veterans Memorial Coliseum, Columbus, Ohio

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/12/07(火)  20:00
kc197404281974年4月28日 オハイオ州コロンバス/ヴェテランズ・メモリアル・コロシアム

1) The Great Deceiver
2) Lament
3) Improv
~4) Exiles
5) Fracture
6) Easy Money
~7) Improv
~~8) The Night Watch


74年春の欧州ツアーのさなかに一気にヘヴィーになったクリムゾンは、4月2日のドイツ・ゲッティンゲンで13回に渡る"Starless and Bible Black"お披露目ツアーを終えると、1週間のインターバルすらもなくアメリカに渡り、前年の10月以来の北米ツアー(25日間17公演)を開始する。
このツアーで"LTiA1"や"Book of Saturday"といった微妙なニュアンスを持つ曲は完全にセットリストから消えた。ヘヴィー一直線だ。

このコロンバス公演は、通算164回目のライブ。ブートが存在していないようなので断言できないが、不完全収録。たぶん終盤に"Starless","TD","LTiA2","Schizoid Man"などが演奏されたとみるのが自然。
基本的にはドイツでのパフォーマンスを引き継いでいる。が、それはバンドのパワーという正の面より、単純にベースとドラムの音がデカいだけ、という負の面が継続している気がしてならない。適正なボリュームバランスで演奏された時に、この時期のクリムゾンがどうだったのか。アグレッシブで手数の多いリズム隊がバンドの演奏に活力を生み出し、繊細なヴァイオリンやマイルドなトーンの神経質なアルペジオと共存できていたとしたら、バックラインから投げつけられるレンガ以外のものを我々は見出すことができたのかもしれないが、それは今となっては全く意味のない仮定に過ぎない。残念・・・・・・


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King Crimson 1974.03.31 Jahnhalle, Pforzheim

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/11/09(火)  20:00
1974年3月31日 フォルツハイム/ジャーンハッレ

1) The Great Deceiver
2) Improv
~3) Doctor Diamond
4) Improv
~5) Exiles
6) The Night Watch
7) Lament
8) Starless
9) Easy Money
~10) Fracture


74年春の欧州ツアーも終盤。151回目のライブは、相変わらず嵐が吹き荒れる。コンクリートの瓦礫が一緒に飛んできそうな、重い重い嵐だ。それは、演奏で微妙なニュアンスを表現するというようなものではなく、バランスを崩す一歩手前のリズム隊の音量(単に音がデカ過ぎとも言う)によって主にもたらされているようでもあり、ディフェンスとフォワードが入れ替わったようなアンサンブルによるもののようでもある。ジョン・ウェットンって今思うと闘莉王みたいだなw
冗談はさておき、なぜこんなにもバックラインが前に出たがったのか、わからないが、それはやっぱりバンド内の力関係とか人間関係とかが影響していたのだろうなぁ、と思うところはある。あるいは単にフロントの2人が疲れ切っていたとか。それでいて、必ずしも破綻しているというわけでもなく、音量に頼らなくても輝く瞬間もあるのだ。


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King Crimson 1974.03.30 Elzer Hof, Mainz

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/11/02(火)  20:00
kc197403301974年3月30日 マインツ/エルツァーホフ

1) Improv
~2) Doctor Diamond
3) Improv
~4) Exiles
5) Improv
~6) The Night Watch
7) Starless
8) Lament
9) Improv (Trio)
10) Easy Money


ハイデルブルクの翌日、150回目のライブはマインツ。基本的にはセットリストも含めて前日のパフォーマンスを踏襲して、ヘヴィー。ひたすらヘヴィー。もっとも、前日の演奏から乱暴な部分は微妙に修正が図られているようで、混沌とした暴走ではなく、計算づくの荒ぶりパフォーマンスという気はする。

なお、終盤には"Fracture"と、冒頭に"TD"がくっついていない"LTiA2"が演奏されているはずだが、公式音源では収録されていない。


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King Crimson 1974.03.29 Konzerthaus Elzerhof, Heidelberg

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/10/26(火)  20:00
kc197403291974年3月29日 ハイデルブルク/コンチェルトハウス

1) Improv
~2) Doctor Diamond
3) Improv
~4) Exiles
5) Improv
6) Starless
7) The Night Watch
8) Lament
9) Easy Money
~10) Fracture


バンドの内部に何かのきっかけがあったのか、それとも「たまたま」なのかはわからないが、ハイデルブルクで149回目のライブを迎えたこの日のクリムゾンは、超ヘヴィ。スコアの制約がないインストパートやインプロにそれは顕著で、従来のようなフリップが制御するクリムゾンではなく、ウエットンとブラッフォードがどんどん先に進み、メロディー隊の2人を試すかのような(いわゆる「レンガを投げつける」ような)演奏が随所にみられる。

なお、公式音源は"Fracture"の途中で終わってしまう。74年春のヨーロッパツアーで、この日は唯一アンコールに"Schizoid Man"が演奏されたが、それを聴くにはブートしかない。


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King Crimson 1974.03.27 Unknown, Augsburg

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/10/12(火)  20:00
kc197403271974年3月27日 アウグスブルク/(会場不明)

1) Doctor Diamond
2) Lament
3) Easy Money
4) Fracture
5) The Night Watch
6) The Great Deceiver
7) Starless
8) Improv
~9) Exiles
10) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


新曲の手慣らしと既存曲の再生に努めたイタリア、フランスでの6回のステージを経てドイツに渡り、アウグスブルク(公演会場は記録に残っていない)で通算147回目のライブを行ったクリムゾン。ドラム(特にキック)のコンプが強く、音源から前面に押し出ている(出過ぎている)が故の印象かもしれないが、ドイツへ渡るやいなや、その演奏は攻撃的な色を急速に強めている。端的に言えば、デヴィッド・クロスが消えつつある。
それでも、あまりの重力に首が縮まるほどの息苦しさを感じるまでには至らず、この日は既のところでレンガの投げ合いにならず平穏を保っている。


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KingCrimson 1974.03.22 ORTF TV "MELODY"

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/10/05(火)  20:00
kc197403221974年3月22日 パリ/ORTF ”MELODY”
(スタジオライブ)

1) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
2) Improv
3) The Night Watch
4) Lament
5) Starless


143回目のライブは、フランスORTFテレビの"MELODY"というスタジオライブ番組への出演。その映像が、これ。

ここはクロスピッキングで弾いているのかとか、こういう機材なのかとか、ヴァイオリンのピックアップはどうなってるんだろうとか、ずいぶんとトーンコントローラーを触るんだなとか、そういう資料的な価値はあるが、そういうのは吹っ飛ぶほどに衝撃的だ。
だって、「動くクリムゾン」なんだもん。

短髪にチョイダサスーツのデヴィッド・クロス。
こっち見んなと言いたくなる腰かけたロバート・フリップ。
お馴染のBマークの白いオーバーオールを素肌に着たビル・ブラフォード。
細く、あくまでもカッコいいジョン・ウェットン。

タイムマシンがあったら74年のクリムゾンを観に行くのに!!!!


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King Crimson 1974.03.20 Palasport, Brescia

King Crimson ] TB:0 | CM:2 | 編集  2010/09/28(火)  20:00
kc197403201974年3月20日 ブレシア/パラスポルト

1) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
2) Doctor Diamond
3) Easy Money
4) Lament
5) The Night Watch
6) Improv
~7) Starless
8) Exiles


通算142回目のライブは前日に引き続きイタリアはブレシアでの公演。再開したツアーは2日目にして早くもセットリストが変化し、"The Great Deceiver"や"Guts on My Side"といった速弾きソリッドなリフを持つボーカルナンバーを排した構成。インプロナンバーも前日との関連性は特になく、色々と試行錯誤をしている様子が見て取れる。が、そこにかつての30分を超えるような長閑なインタープレイや、ミューア脱退後の定型リフ、リズムボックスインプロのような「実験臭」が漂わないのは、力強さを増すジョン・ウェットンのボーカルが聴く者を「ロック」の淵に引き寄せるからだと思う。

なお、この音源には収録されていないが、最後に"LTiA2"が演奏されている。(そして"Schizoid Man"は演っていない)


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King Crimson 1974.03.19 Palatza Delo Sports, Udine

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/09/21(火)  20:00
kc197403191974年3月19日 ウディネ/パラッツォ・デッロ・スポルト

1) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
2) Lament
3) Doctor Diamond
4) The Night Watch
5) The Great Deceiver
6) Guts On My Side
7) Improv
~8) Starless
9) Book of Saturday
10) Exiles
11) Fracture
12) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


73年秋に超絶的なライブパフォーマンスを立て続けに披露したクリムゾンは、74年1月に"Starless And Bible Black"を制作。それは単なる「スタジオ演奏の録音」と「ライブ録音のリミックス作業」に留まらず、ライブで公開していない全くの新曲の立ち上げに加え、73年からの曲をリメイク(そこには、インプロ曲にボーカルを後付けするというハイブリッドな試みも含まれる)するなど、溢れ出るパワーを楽曲に昇華させる充実したリハーサルであったことが伺い知れる。

通算141回目のライブであるウディネ公演はレコーディング後の最初のステージで、まだ"Starless And Bible Black"は世に出ていないため聴衆にとっては未聴の曲が多いが、反応はイタリアらしく熱狂的。73年に聴かせた端正さとポップの度合いが、書き下ろされた、あるいはリニューアルした楽曲を下敷きに絶妙にミックスされている。そしてこの日は、アルバム収録はおろかライブでも金輪際演奏されることがなかった"Guts On My Side"が披露された唯一の日でもある。(2回演ったとか、73年にも演ったとか、諸説あり)
また、この日からしばらくは"Schizoid Man"を演奏しなくなっているのも興味深いところだ。

あと10日もすると、バンドは急速にヘヴィメタルな度合いを増し、最高の瞬間を時折見せながらも、火球が落ちる直前の線香花火のようにバランスを失っていく。その直前のこの時期のライブは、必聴だ。


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King Crimson 1973.11.23 Concertgebouw, Amsterdam

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/05/11(火)  22:00
kc19731123(これはブート)1973年11月23日 アムステルダム/コンセルトヘボウ

1) Easy Money
2) Lament
3) Book of Saturday
4) Fracture
5) The Night Watch
6) Improv (Starless and Bible Black)
~7) Improv (Trio)
8) Exiles
9) Improv
~10) The Talking Drum
~~11) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
12) 21st Century Schizoid Man


ピークのパフォーマンスを発揮し続ける73年11月のクリムゾン。音楽の神が舞い降りた11月15日のスイス・チューリッヒから8日後、ツアー終了間際のバンドはオランダ・アムステルダムに渡り、そこでまたも神懸り的な演奏を見せる。
と言っても、既存の「歌モノ」は手馴れた感が出てしまい、ジョン・ウェットンの喉にこの日は今ひとつ深みがないこともあって、やや平板な印象がある。しかしインスト曲、とくにステージ中盤で立て続けに披露される2曲のインプロの出来は凄まじく、約15分に渡る緊張感溢れる演奏はこの時期のクリムゾンの「動と静」を余すところなく表現しきっている。

ちなみに。この日の演奏はアナログLPの時代から数多のブートを生み出した。かく言う俺が生まれて初めて手にしたブートもこの日のもの("UN REVE SANS CONSEQUENCE SPECIALE"というタイトルのBBC放送版もの)だったなぁ(懐)。


バンドはこの後スペインで3公演をこなし、ツアーに明け暮れた(年間108公演!)73年の活動を終える。そして、"Starless and Bible Black"の収録を挟んだ翌74年のクリムゾンは、またちょっと別のバンドだ・・・。


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King Crimson 1973.11.15 Volkshaus, Zurich

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/05/06(木)  22:00
kc197311151973年11月15日 チューリッヒ/フォルクスハウス

1) Improv
~2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Lament
4) Peace - A Theme
~5) Cat Food
6) The Night Watch
7) Fracture
8) Improv (The Low of Maximum Distress/The Mincer)
9) Easy Money
10) Exiles
11) Improv
~12) The Talking Drum
~~13) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
14) 21st Century Schizoid Man


73年11月のクリムゾンは、最高だ。

通算131回目のライブとなるチューリッヒ公演。録音前提のライブの常で、この日は比較的落ち着いた演奏を聴くことができる。しかしそれは決して安穏とした演奏に堕するということではなく、有り余るバンドのパワーが見えざる手によって制御され、暴走も自爆も放置もなく、72年ほど散漫ではなく73年前半ほど停滞感がなく74年ほど破滅的ではない。水増しやハッタリがない。目指す音楽とその表現技法が全てクリアになり、日本刀の上を素足で渡るような研ぎ澄まされた感覚のもと、卓越したテクニックを用いて超絶なアンサンブルが繰り広げられる。

これこそ、音楽の神に祝福された夜だ。


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King Crimson 1973.11.13 Palatza Delo Sports, Rome

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/05/02(日)  22:00
kc197311131973年11月13日 ローマ/パラッツォ・デッロ・スポルト

1) Improv
~2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Peace - A Theme
~4) Cat Food
5) The Night Watch
6) Fracture
7) Book of Saturday
8) Lament
9) Easy Money
~10) Improv
~~11) Exiles
12) Improv
~13) The Talking Drum
~~14) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
15) 21st Century Schizoid Man
16) Cat Food


ザールブリューゲンの5日後、通算130回目のギグ。当然ながら演奏内容は前後のライブと非常に似通っているが、何が凄いってこの日は観客の熱狂が凄い。デヴィッド・クロスが後にこの日のライブを述懐して

イタリアのスポーツ競技場で、機関銃を持った警官隊が我々の居る上のバルコニーをパトロールしている姿がライトが当たって見えた

なんてことを言ったようだが、やはりイタリアと言えば警官隊ですよね。(違うか?

なお、公演場所はオフィシャルでは"Palatza Delo Sports"となっているが、ローマのコロシアムと言えば"Palazzo dello Sport"ではないかと。

で、実はこれもブート音源だったりします。


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King Crimson 1973.11.08 A.S.T.V. Halle, Saarbruegen

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/04/27(火)  22:00
kc197311081973年11月8日 ザールブリューゲン/ASTVホール

1) Improv
~2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Peace - A Theme
~4) Cat Food
5) The Night Watch
6) Fracture
7) Book of Saturday
8) Lament
9) Easy Money
10) Improv
~11) Exiles
12) The Talking Drum
~13) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


スイマセン最初に書きますけどコレはブートです。汗;

通算128回目の公演となるザールブリューゲンでのライブ。リズムマシーンを用いたインプロと定番アンコール"Schizoid Man"は収録されていない(演奏していない?)ものの、基本的に、タイトで渋めの演奏を繰り広げる「'73秋クリムゾン」の典型パターン公演。この日も充実のアンサンブルで、曲によっては非常にロックを感じさせる直球勝負的なノリ。音が遥か彼方に聞こえるブート音源でも、この時期のダンディなクリムゾンの魅力が充分に味わえる。(とは言っても、音質的には決してお勧めはしない)

サウンドボード版があれば、10月・11月の伝説的な公演に充分に比類しうる演奏だったのではないか。


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King Crimson 1973.10.23 Apollo, Glasgow

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/04/20(火)  22:00
kc197310231973年10月23日 グラスゴー/アポロ

1) Improv (Sharks’ Lungs in Lemship)
~2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Easy Money
~4) Improv (We’ll Let You Know)
~~5) The Night Watch
6) Fracture
7) Lament
8) Book of Saturday
9) Improv (Tight Scrummy)
~10) Exiles
11) Improv
~12) The Talking Drum
~~13) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
14) Peace - A Theme
~15) Cat Food


ピークに向かって突き進む73年秋のクリムゾン。マイナーチェンジした姿を見せた9月~10月の北米ツアーの後、1週間のブレークで10月23日からはUK/ユーロツアー(38日間24公演)に入る。”Larks~”のレパートリー、”Starless and Bible Black”のレパートリー、”Poseidon”時代の旧曲、そして何よりさらに凄みを増し演奏時間が長くなっていく数多のインプロ。時に音楽の神が舞い降りたこのツアーはライブ録音され、その珠玉の断片は”Starless and Bible Black”で何食わぬ顔で(リスナーはそれがライブ録音とは知らされずに)収録されることになる。
まさに「クリムゾン=ライブ・パフォーマンス」の時代だ。

UK/ユーロツアー初日、通算117回目のギグとなるこのグラスゴー公演は、そんな絶頂期の中での演奏。残念なことにデヴィッド・クロスの側のメロトロンのボリュームが低いため演奏バランスが悪く聞こえるが、スコットランドの、まるでサッカー場のような歓声は演奏自体の凄まじさを物語っている。


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King Crimson 1973.10.06 University Of Texas, Arlington, TX

King Crimson ] TB:0 | CM:2 | 編集  2010/04/15(木)  22:00
kc197310061973年10月6日 テキサス州アーリントン/テキサス大学

1) Improv
~2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Easy Money
4) The Night Watch
5) Fracture
6) Book of Saturday
7) Lament
8) Improv
~9) Exiles
10) The Talking Drum
11) Larks' Tongues in Aspic (Part II)
12) 21st Century Schizoid Man


73年夏のツアー終了後2ヶ月半のブレークを挟み、クリムゾンは9月19日からこの年3回目の北米ツアー(27日間19公演)を敢行。ブレーク期間が単なる休息ではなかったことは明白で、幾つかの新曲が出来上がり、既存曲のアレンジは新しくなり、新たな発想のインプロヴィゼーションが演奏された。73年秋~冬のクリムゾンは、"Larks' Tongues in Aspic"の集大成としてではなく、後の”Starless and Bible Black”につながる新たなクリムゾンと位置付けられる。

通算112回目、第3次北米ツアーとしては15回目のライブとなるアーリントン公演は、新たなピークに向かい上昇していく新型クリムゾンが堪能できる。74年春に発表される新曲も、アルバム発売に半年先駆けて既に演奏されており、曲が磨かれていく過程を目の当たりにできるのも非常に興味深い。


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King Crimson 1973.06.23 Richards Club, Atlanta, GA

King Crimson ] TB:0 | CM:0 | 編集  2010/04/06(火)  22:00
kc197306231973年6月23日 ジョージア州アトランタ/リチャーズ・クラブ

1) Doctor Diamond
2) Larks' Tongues in Aspic (Part I)
3) Easy Money
~4) Improv
~~5) Exiles
6) Book of Saturday
7) Improv
~8) The Talking Drum
~~9) Larks' Tongues in Aspic (Part II)


夏の第2次北米ツアーも終盤戦。前述のバークレイ公演の1週間後に行われた、通算93回目のライブとなるこのアトランタ公演は、”Larks Tongues in Aspic”収録曲+定型インプロという構成を手馴れた感じで演奏するクリムゾンの雄姿を、音離れの良いステレオサウンドで楽しむことができる。音源にノイズが入ったりマイクのジャックが接触不良だったりとPA不調はあるものの、ベースとドラムが軽めのバランス(=ギターとバイオリンを邪魔しないボリュームw)のインライン収録のため、この時期のギターとバイオリンの演奏の細部が確認できる貴重な音源だと思う。

特にインプロ曲は「ベースのリフと定型コーダを持つもの」「ベース・バイオリンに決まったフレーズが登場する"The Talking Drum"の導入インプロ」が固まりつつあり、前者は前述のバークレイで、後者はバークレイでもこのアトランタでも聞くことができる。
こういうのはやはりJM在籍時の長尺インプロの反動から生まれたのではないだろうか。


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